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がんの生存率

がんの3年生存率はどのぐらいか?

はじめに

がんの生存率には今まで5年生存率というデータが多く使われてきました。ただ最近は高齢化社会も進んで高齢者は「がん」以外の病気で亡くなってしまうこともあります。そのような場合にはがんの生存率というデータに疑問点(がんで亡くなったわけではない・ただ5年間生き抜いてはいない)が出てきています。

また5年生存率だとデータを取るのに時間がかかってしまうということもあります。このようなところから今後は5年生存率だけでなく3年生存率というデータも載せていくことにしました。

対象は胃・大腸・肝臓・肺器官・女性乳房・食道・膵臓・前立腺・子宮頸・子宮内膜・膀胱・咽頭・胆嚢・腎臓・腎盂尿管の15まで拡大しました。

実測生存率と相対生存率

生存率には実測の生存率と相対の生存率とがあります。

実測の生存率は死因に関係なく現在生きているか・いないかだけを対象にしています。がん以外の他の病気や事故などで亡くなった方も死亡と算定します。これはがん診療連携拠点病院で初回診療を受けた患者さんを対象にしています。あくまで目安・平均的な数値であってすべての例に当てはまるわけではありません。

これに対して相対の生存率はがん以外の病気で亡くなった方の影響を取り除きます。患者集団の実測生存率を患者集団と同じ年齢構成・性別の一般集団における期待生存率で割ることによって算出する生存率のことをいいます。同性・同世代の方と比較して当該「がん」での生存率を比較していきます。高齢者の場合だと「がん」による相対生存率が100%を超えることもあります。

がん対象の評価において、がんの影響を見たいときにはこの相対生存率の方を参考にすることの方が多いです。ただ同じ性別や年齢であっても患者さんの背景事情が異なる集団において算出された相対生存率はがん以外の競合してしまう死因の影響を完全に取り除けてはいないということになることがネックです。

実際の3年生存率

ここからは胃・大腸・肝臓・肺器官・女性乳房・食道・膵臓・前立腺・子宮頸・子宮内膜・膀胱・咽頭・胆嚢・腎臓・腎盂尿管のそれぞれ3年生存率を見ていきます。全体・I期・Ⅱ期・Ⅲ期・Ⅳ期で比較していきます。

部位全体実測生存率Ⅰ期実測生存率Ⅱ期実測生存率Ⅲ期実測生存率Ⅳ期実測生存率全体相対生存率Ⅰ期相対生存率Ⅱ期相対生存率Ⅲ期相対生存率Ⅳ期相対生存率
69.5%88.9%70.2%49.3%9.7%75.6%96.9%76.4%53.2%10.3%
大腸72.8%89.3%85.3%79.2%28.7%78.7%96.4%93.4%85.2%30.5%
肝臓50.3%72.4%57.8%23.8%7.3%54.6%78.5%62.5%26.0%7.8%
肺・気管47.1%83.1%57.3%34.1%11.8%50.8%89.7%62.2%36.5%12.6%
女性乳房92.7%97.4%95.2%86.5%55.2%95.2%99.8%97.8%89.2%56.6%
食道50.0%80.0%54.3%32.6%12.1%53.6%86.2%58.2%34.8%12.8%
膵臓15.8%57.3%29.5%10.2%3.0%16.9%62.2%31.5%10.9%3.2%
前立腺90.3%94.8%95.6%92.9%67.1%99.2%100%+100%+100%+75.7%
子宮頸78.0%96.0%83.2%69.4%31.9%79.6%99.2%97.2%71.2%32.8%
子宮内膜84.0%95.6%91.6%75.0%31.8%85.9%97.6%94.1%76.7%32.6%
膀胱65.1%81.3%59.4%45.9%23.8%73.4%91.7%67.5%51.5%25.9%
咽頭77.3%87.9%82.2%77.3%49.7%84.4%96.0%90.2%84.9%53.6%
胆嚢30.4%83.8%69.7%23.0%4.2%33.4%91.1%77.4%25.3%4.6%
80.7%93.2%89.7%77.4%24.8%85.6%98.5%94.3%83.0%26.6%
腎盂尿管50.2%80.8%71.9%62.1%15.6%55.6%90.1%79.6%68.3%17.0%

前立腺と乳房は予後もかなり良好

男性・女性特有のがんである前立腺と乳房は予後もだいぶ良好です。末期のⅣ期になってもまだ50%以上あります。また前立腺がんに至ってはⅠ期・Ⅱ期・Ⅲ期までは同世代の同性の生存率よりも高いというデータもあります。諦めずに治療することで5・10年と生きられる可能性の高い部類の「がん」ともいえます。

反面「がん」の王様といえる膵臓・さらに肝臓・胆嚢の肝胆膵といわれる「がん」は生存率が低くなっています。特に膵臓はⅢ期になってしまうと実測・相対とも生存率が10%前後にまで下がります。全体でも15%を少し超える程度ですのでよほどの初期でない限りは「5年」どころか「3年」という期間を生きることも厳しいというデータが出ています。

また肺器官・食道・腎盂尿管の各種「がん」も予後はあまりよくありません。Ⅳ期になるとかなり厳しい数値になります。Ⅱ期までで発見できないと3年という期間を生きることも少し厳しいかもしれないというデータも出ています。

こうしてみるとやはり「がん」は早期発見が大事になりそうです。

出典:国立がん研究センター

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